2030-12-24

きっと



きっといつか、おそらく何百年か後のこと。
インターネットは想像もできないくらい進化してしまっているけど、人類在る限り健在だと思うんだ。そうするとね、未来の考えられないくらい膨大な容量のサーバクラスターの中に、果てしなくクロールやミラーリングを繰り返してコピーされた過去のコンテンツの残滓が澱のように沈殿するに違いない。
数百年後の世界では、そうした古いデータはとても貴重なので、考古学のようにそれらのデータを発掘して研究する学者なんかが存在したりするんだ。
昔あなたが初めて作った全部センター揃えのしょっぱい趣味の「ホームページ」から、生々しいSNSのやりとりまで。サルベージされたデータを眺めて未来の人は「昔の人も大して変わらんのだなあ」なんて思ったりするのかもしれない。
たぶんその中には痛いネトゲ日記みたいなものもあるし、誰かがFrickrに上げたSLのスクショなんかもあったりする。SLだって「ああ、これがフルダイブ仮想世界のそもそもの元祖だったのか」なんて過大評価を得ることになるのかもしれない。
つまりなにが言いたいというわけでもないのだけれど、頭の片隅でそういうことを考えながら今日も飽きずに、私は割と元気にPCの前に座っているのです。
こんなことがいつまで続くのか私にもわからないし、何百年後にはもう私たちはいないけれど、どうかあなたの今日のバーチャルライフが実り豊かなものでありますように。

では今晩のところはおやすみなさい。











2019-10-11

終章 5分後の世界


こんにちはうさ子です。

いま私の横では女子高生コスのアガットさんが超絶下手なリコーダーで「蛍の光」を演奏中。つっかえたとこでやめて、また最初から再開するのでいつまでたっても終わりません。成り行き上、見守らざるを得ない私としてはたまったものではありません。いいかげんにしてほしい。とはいえ、この島で暮らし始めて早5年。さすがに今日が最後だと思うと感慨深いものがあるに違いないのです。
傾き始めた午後の日差しの中、私は諦めて日傘を畳みました……

アガットさんと知り合ったのは3年くらい前のことでした。
こんなわけのわからない世界に放り出されて途方に暮れている私にここでの暮らし方や生きていく術をを与えてくれたのが彼女です。足を向けて寝られません。
確か残業後にタクシーを拾おうと外苑西通りに身を乗り出したらそのまま前方不注意のトラックに轢かれたはず。なのに気が付いたら無傷でここにいたのでした。
ははーん、これがいわゆる異世界転生ってやつだな? 
やってたゲームの中に転生しちゃう系だなこれ。
でもね、だからこそほんとに困ったんですよね、このゲームみたいな世界には。
だってここには冒険者ギルドもないし、魔法もチートもレベル上げも無い。
ただただカオスで世知辛くて、目的も何にも無い世界だったんですから。

途方に暮れてアキバのカオスな街で行き倒れていた私に、謎のうさみみヘッドホンの人が声をかけてきました。それがアガットさんと私の最初の出会いでした。
なんでも遠い南のほうの島でずっとお店をやって暮らしている人なのだそうです。
「居候の一人くらいはどうにでもなるから」と、遠慮する私を半ば強引に連れ帰ってくれたアガット氏。今考えると便利な働き手が欲しかっただけに違い無いのでした。

彼女が作る謎の家具とか変な服、変な建物。
塗装の下地作業とか縫製とか、まあいろんなお手伝いをしました。働かざるもの食うべからず。それはそれで楽しかったのです。「これからは飲食だ!」とか突然思い立ってカフェで働かされたりもしたのも今となっては良い思い出。
親切な近所の友人や、楽しいお客さん(たまに変な人もいましたけど)に囲まれてそれなりに充実した毎日。
漠然とそんな日々がず~っと続いていくような錯覚に陥っていました。

「うさ子、ちょっと話があるんだけどいい?」
ある日のカフェの店じまい後、彼女がそう切り出しました。
予感はなんとなくあった。そうあったんです!
ここは余生(secondlife)の世界。でもいまの私たちはなんか違うな~って。
なんとなくだけど、こういうことではなかったはずなんですよ。

「……とりあえず今のお店はいったん畳んで旅に出ようと思うんだけど」
うさ子はどうする? 読めない表情の目の奥で彼女がそう言ってる気がしました。
漂泊の思い止まず。
そんなの答えは一つに決まってるじゃないですか。


思い出のお店を取り壊す前日。
なんとなく二人でお店の前で佇んでいました。
そして冒頭の「蛍の光」に至るわけです。
だめだこの人、壊滅的に音楽的センスが無い……。
アガットさんがふと謎の演奏を止めます。
「Five minutes afterってどういうことかわかる?」
「あ、はい、村上龍の『5分後の世界』にインスパイアされたんでしたっけ? でも文法なんかおかしくないですか?」
これは本当は言ってはいけないことなのです。アガット氏の機嫌を損ねます。
でも最後の日だからまあいいよね。
「5分後の世界って結局平行世界の話でしょ? 
私もうさ子もまあいわば平行世界から来たわけで」
……言っていることはよくわかりませんが、
言わんとしていることはなんとなくわかるのです。

たぶん分岐したたくさんの平行世界=選択肢の中でなにも見失わないように。
なにかあってもまたここに帰ってこられるように。
「目印みたいなものだよ、ここは」
じゃあ壊しちゃったらダメじゃん!?
「目印はお店そのものじゃないんだよ、たぶんね」
そうですね、たぶんここでの縁や繋がり、そういったたくさんのもの……。

私はいくつもの世界(ゲーム)を旅してきた。
思えば遠い別の宇宙での惑星開発から始まった旅だったはず。

「さあて、これからどうしましょうか?」
私は彼女のリコーダーをさっと奪い取ってしまいました。
「とりあえずはどこか他の土地でも探そうよ。
でもその前に今夜は祝杯を上げにいこう? 何の祝杯かはわからないけどさ」
そして私たちはいつものように笑い合いながら
島のワープゲートに向かって歩き出しました。


Restart of five minutes after
<完>

2019-09-16

渚にて

波はこの入り江の海岸線から少しずつ砂を削り取り、やがてこの島そのものをを無かったことにしてしまうだろう。だから私はこの美しい砂浜に巨大なテトラポッドを置くことにした。私の持てる全てを投げ打って無数に。私はあれから毎日テトラポッドを海岸線に積み重ね続けた。
そのおかげでこうしてかろうじて小島は守られたけれども美しかった筈の海岸線はテトラポッドだらけで台無しになった。だからもう素足で波と戯れることはできない。

2019-09-15

素プリム2019


ふとノーズピアスしたら良いんじゃないかなと思って、探しに行ったらイメージしたものがありませんでした。欲しかったのは小鼻に装着するリング状のノストリルとかいう種類のやつなんだけど、牛さんの鼻輪みたいなやつとか、チェーンついてるデコラティブなのしか見つからんかった。ひとつだけ、お、これは?みたいなシンプルなやつがあったけど、ただの輪っかのくせに300L$超えてる!
ちゃんと探せばいくらでもあるんでしょうけど、ここで心折れました。ただのトーラスだったらメッシュじゃなくてもいいじゃん!もう素プリムでいいじゃん! で、実際に作ってみたら遠目にはわからんですよねもうwwwww
テクスも前作ったなんかのやつを流用してごまかしてます。作成時間5分。冗談でPOPを作ったら無駄にアンニュイでキラキラした感じになってしまったので店に置きました。素プリムなのに……だめよなこれ。ほんとだめだとおもうけどもう置いたし無意味にに6種類入ってて草生えるw
ほんとすいませんした……

2019-02-01

Mixxx+DJ2GO2


学生の頃バイトしていた雑貨屋さんは1フロア上でカッフェーの営業もやっていました。(どっちかというとそのカフェが好きでそのお店で働き始めたのです)お店にはいつもオーナーのお友達の選曲家がセレクトした素敵な音楽が流れていました。

SLのカフェごっこでやりたいことのひとつがまさにそれだったのですが、ずっと音の流し方がわかりませんでした。最初のうちは良さげなネットラジオを流したりしてお茶を濁してましたが、そうそう良さげなストリーミングも無いものです。
試行錯誤の末、最近ではMixxxというフリーのDJ用ソフトと、と小さいDJコントローラ(DJ2GO2)で好きな音を流すようになっています。たまにビートマッチングの練習などをして遊んだりもしていて、ぶっちゃけ楽しいです。音源は一般に流通しているものは殆どなく、SoundcloudやBandcampで見つけたFuture bassやFuture Funkなどが中心です。ネットの世界には本当に豊かな音楽の才能と鉱脈があって、それを見つけるのがとても楽しい! ただちょっと独特すぎるイミフな選曲なのと、そもそもジャンル自体がマイナーなので、誰もお店でちゃんと音楽聴いてくれてないんですよね~・・・・・・
そもそもが自己満足でしかないのでどうでもいいっちゃいいんですけども・・・・・・

2018-12-22

おみせやさんごっこ


今でも覚えているのは、幼稚園の年長さんのときに全幼稚園を挙げて行われた大規模「おみせやさんごっこ」の信じられないくらいまでの楽しさである。
厚紙で作られた硬貨を貨幣経済のベースとして、いくつかの店舗(商品は工作という名の手工業形態によって園児の労働で生産された)と郵便局までをも含む幼稚園校舎全域に広がる一大経済圏としてそれは運用されることとなった。
現在に至るわたしの経済原則の初期概念はここで獲得されたものだ。故に大人になった今でも複雑な経済に関しての知識はほぼない。
残念なことに、この夢のようなおみせやさんごっこは在園中に1度開催されただけであった。たぶんあれは先生たちの負担が半端なかったはずだったのだ。そんな事情がわたしにわかるわけもなく、またいつかあの夢のようなおみせやさんごっこが開かれるのを心待ちにしていたのである。
その後、わたしは生業として「おみせやさん」になることはなかった。
ネトゲのロビーでサロンのようなものを勝手に開催したり、MMOの舞台装置として存在する酒場のような場所でおみせやさんごっこをすることを代償行為として行ってきたのみである。
SLに出会ってから今に至るまで、長い期間にわたっていろんなことがあったけど
それでもまだやめていないのは、SLが「おみせやさんごっこ」をするのに最高のプラットフォームだったからであるような気がしてなりません。
それにつきあわされるカフェの常連さんたちには本当に心から感謝しています。
今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願い申し上げます。

うさこ店長



2018-12-21

Manga mesh head


ドールみたいなアバターを作りたいと思って買った6dooのManga head。いろいろいじって遊んでたのですが、ついにわりといいんじゃないかなと思うに至りました。スキンもいいかんじのがあって一気に解決したかんじ。目はどうしたらいいかわからんので、ドールアイっぽいめんめんをメッシュで自作しました。(睫の反射まで描いてみたぜ! 見えないけど)あとオレンジっぽいチークが合う気がしたのでそれも自作。最後にリアル方向の中太眉を作ったら完成かな・・・・・・? しばらくはこれでいいかなと思ってます

2018-09-15

つくったもの




















                                                                                                                          とりあえず今回カフェごっこをするために作って、そこから販売まで漕ぎ着けたものです。前は新しくつくるとそのたびにここに載せてたのですが、いまさらなのでまとめてご紹介させていただきます。いまさら新しい技術を習得するのもしんどいので、ブレンダーとフォトショだけでできることを細々とやっているかんじです。とは言えなんだかんだで結構作ってるな……。ミナルーシュのお店に現物を置いてありますので、もしご興味あればぜひ見にきてやってくださいませ

2018-08-24

最果てのカフェの進歩と終焉の記録


SL内カフェ(しつこいようだがこの世界におけるカフェとはなんなのか)を再オープンして数ヶ月。遅々とした歩みではあるものの、自ら空間を作り、家具什器類を作り、調度を整えて、最後に後回しにしていた建物のマテリアルを作成したのです。このテカり具合、なかなかよいのではないかなどと悦に入っている矢先、土地の賃貸トラブルでとりあえず店を閉めねばならないことになりました(白目

新しいお友達や常連のお客さんもできて、最近またちょっとSLが楽しくなっていたのでちょっと残念なんだよなあ。あと誰も聞いちゃいないんだけど、常にFuturebassとかVaporwaveをかけてるほぼ唯一のSLカフェ的な施設という自負もありました。チャットばっかで誰も聞いちゃいないんだけどな!
まあ引っ越せばいいだけなんですけど土地探しめんどい。さてどうしたものか……

思えばカフェごっこを始めて結構経ってます。最初のうちは純粋にお店ごっこを楽しむという感じでした。慣れない小娘がなんとかお店をやっているロールプレイみたいな。でもだんだん化けの皮は剥がれてきて、いまでは無駄によく喋るシュール系お笑い喫茶みたいなことになっています。ずっと何か作ってはお店で売りさばくという遊び方でしかSLをやってこなかったので、コミュニケーションツールとしてのSLの遊び方はカフェごっこに教えてもらった気がするんですよね。
現在のSLの日本人ユーザーは正直他のネトゲの人たちと比較しても、癖のある人がものすごく多いです。えっマジなの?とか思うこともわりと日常茶飯事です。あとリアルスキルがバーチャル空間でのスキルに直結してるかんじなので世知辛い。とてもじゃないけどリアル知り合いとかにはおすすめできん! あと、間口が広くて自由度が高い分、いろんな人が来ちゃうので異文化との衝突と摩擦という現象が発生します。それでも選択と集中の原則に従い、だんだん似た価値観の同じ文化圏の人たちが集まってくることになるわけです。だんだんいい感じに仕上がってきやがったぜ、と思っていたのになあ……。
正直、ここまでメッシュで自作してお店ごっこやってるところは多分他にないお?wwwwww自分でも馬鹿だな~と思うけどw

とりあえずお店は継続したいので土地探しの旅に出ることにします。建物とかもやっと仕上がりつつあったので多分変えずにこのままこれが置ける土地を探すことになると思います。
ではまた近々お会いできるその日まで。
おやすみなさい。

mameyudoufu "awa"
https://www.youtube.com/watch?v=oJGbJ3ujnIY

2018-07-30

別垢の効用


Agatheでインすると、作業をしなきゃいけないとか、お客さんからIMが来てるかもしれないとか、まあいろいろあるわけです。家賃の支払いとか、マヌケな大家との罵り合いとかもありますし、お店どうしの付き合いみたいなものもあったりするわけです。それが煩わしいというわけでもないのですけど、別垢だとそういうのはないのでとても気楽で開放感があります。そうこうしているうちに別垢のほうでできたお友達も増えてきて、もはやAgatheでインすることが減ってきました。元々誰かを謀ろうとか悪事に手を染めようと思って別垢を作ったわけではないので(笑)メッシュのボディーパーツ類からスキン、メイク、シェイプに至るまで全く同じ姿ではあるのですが、とにかく気楽です。
そもそも別垢ってリンデン的にはどうなんでしょうか? こないだ送金したはずのドルが口座に入ってないトラブルが発生したのでサポートとやりとりして、そのなかで「もし別垢あるなら教えてくれ」とかも言われたので伝えたのですが、それについてはどうということも無かったのですよね。おそらく、良しとしているわけではないけれども成り行きで黙認してるかんじなのでしょうか。(リアルマネー兌換な以上、ロンダリングなどの問題も発生するので、そこだけは気をつけてるのかもしれません)
それにしても不思議なのは、全く同じシェイプで同じスキンなのにもかかわらず、ちょっと違って見えるんですよねこれが。Agatheはお金にしっかりしてそうな雰囲気なのに、別垢ちゃんはちょっと雰囲気が柔らかいです。先入観を投影しちゃってるからなんでしょうけど、私からは明らかに違って見えてちょっと不思議です。